「AIに任せれば完成」ではない。ラストワンマイルの正体を探ったaimarkリアルイベントレポート

2026年8月4日、東京・青山のYOUTRUSTオフィスで、aimark主催イベント「ガチすぎるマーケ領域のAI活用最前線〜ラストワンマイル攻略編〜」を開催しました。 こんにちは!aimark運営の豊藏です!
生成AIを使えば、文章も画像も分析も、ある程度まではすぐに形になります。けれど、実際の業務でそのまま使えるかというと、話は別です。
「それっぽい60点」から「成果につながる90点」へ。最後の30点をどう埋めるのか——。今回のイベントでは、プロンプトの工夫だけでは語り切れない、ワークフロー設計、情報の渡し方、レビュー、人とのコミュニケーションまで含めた“実務の詰め”を共有しました。
イベント概要
- 開催日:2026年8月4日(火)19:00〜21:00
- 会場:YOUTRUSTオフィス(青山オーバルビル9階)
- 参加申込:30名
- 内容:オープニング、AI×マーケティングのLT、交流会
- 主催:AIマーケティングコミュニティ「aimark」
テーマは「ラストワンマイル」
広告運用、コンテンツ制作、リサーチ、分析、CRMなど、マーケティング領域でのAI活用は急速に広がっています。一方で、実務では「AIに投げたら一発で完成」とはいきません。
初期出力の方向がずれている。前提情報が足りない。修正を重ねるほど文脈が崩れる。品質は上がっても、相手への伝え方や業務への組み込み方が決まらない——。この最後の詰まりを、今回は「ラストワンマイル」と呼びました。
開催直前の調査で見えた、AI活用のリアル
イベントに先立ち、aimarkメンバーへAI活用の実態を聞くアンケートを実施しました。開催時点の速報値は12件。サンプル数はまだ多くありませんが、現場感のある傾向が表れました。
- AIの初期出力は平均68点
- 使える状態まで6回以上修正した人が50%
- 3人に1人は、AIを使ったことでむしろ時間がかかったと回答
特に印象的だったのは、文章表現の微修正よりも、戦略や論理、前提条件まで戻って作り直すケースが目立ったことです。仕事を大きな塊のまま渡すと手戻りが増え、目的や工程を小さく定義できた仕事ほど効果が出やすい。つまり問題は、最後の30点だけではなく、最初の仕事の切り出し方にもあります。
そこで当日は、「ラストワンマイルというより、ファーストワンマイルなのでは?」という問いも投げかけました。最初から65〜70点の方向性を出すための設計こそ、AI活用の重要な論点です。
6名のLTで飛び出した「こんなAI活用」
今回のメインは、6名によるライトニングトークでした。登壇者ごとにきれいに分類するというより、動画、ウェビナー、交流会、アフィリエイト、自動化など、それぞれの実務から「ここまでAIでやっている」「でも最後はここで止まる」という話が次々に飛び出す時間でした。
笑いもツッコミも挟まりつつ、うまくいった話だけではなく、まだ成果が出ていない仕組みや、作ってから気づいた限界まで共有されたのが印象的でした。
動画は作れる。でも、絵コンテと企画は粘る
生成AIで音声や字幕、映像を作れる範囲は広がっています。それでも動画の品質を大きく左右するのは、誰に何を伝えるか、どういう順番で見せるかという上流部分。後工程を何度も直すより、企画や絵コンテを人間が粘って詰めた方がよい、というリアルな話がありました。
Slackを起点に、担当者アサインを数秒へ
ウェビナー運営では、Slack、過去の開催実績、担当表を行き来して決めていた担当者アサインを自動化。AIが必要な情報を集めて候補を出し、人は承認ボタンを押すだけにすることで、1件5〜10分かかっていた判断を数秒まで短縮した事例が紹介されました。
全部をAIに決めさせるのではなく、「人が判断する直前まで」を整える。この線引きは、かなり実務的です。
4つのAIにレビューさせても、最後に残ったのは「伝え方」
企画タイトルのレビューでは、複数のAIに同じ案を評価させ、改善ポイントを比較する仕組みも登場しました。どこが悪いか、どう直すかはAIでかなり見えるようになります。
ところが実際の仕事では、相手の経験、締切、関係性によって、完成案を渡すのか、ヒントだけ返すのかが変わります。正しい答えを出すことと、相手が動ける形で伝えることは別物。この「どう伝えるか」が、本当のラストワンマイルだったという話には、今回のテーマが凝縮されていました。
交流会も、参加前からフォロー後まで設計できる
参加するイベントの定期リサーチ、主催者や参加者の事前調査、当日の会話メモ、相手に合わせたフォローアップまでを一連の流れとしてAIで支援する話もありました。
特に面白かったのは、AIにゼロから成功法則を考えさせるのではなく、まず自分がAIなしでうまくいった行動を見つけ、それをルーティン化していくという考え方です。交流会のようなオフラインの場にも、AIを使える余地はまだたくさんあります。
アフィリエイトやマーケティング業務を、どこまで自動化できるか
アフィリエイト業務やGo-to-Marketの仕組みを自動化し、実際に回しながら改善する取り組みも共有されました。完成された成功談ではなく、「いま仕組みを作り、観測し、改善している途中」という率直な発表だったからこそ、会場でも次の試行錯誤を想像しやすい内容でした。
6名の話を通して共通していたのは、AIの性能自慢ではありません。現場の仕事をどこで分け、何をAIに渡し、どこを人が引き受けるのか。その設計を、各自が自分の業務で試していることでした。
共通していた3つの気づき
AIに渡す仕事を小さく、明確にする
大きな仕事を丸ごと任せるほど、前提のずれと手戻りが増えます。目的、入力、判断基準、完成条件を分け、AIが処理できる単位へ落とすことが重要です。
最終判断より、その手前を自動化する
情報収集、比較、整理、候補作成までAIに任せれば、人は短時間で判断できます。すべてを無人化するのではなく、人が価値を出す地点を見極める設計が現実的です。
ラストワンマイルは、しばしば人との接点にある
レビューの伝え方、交流会での会話、相手に合わせたフォロー。AIの出力品質を上げた先には、人間関係や文脈を扱う仕事が残ります。そこを無視すると、90点のアウトプットでも成果にはつながりません。
QRコードを読める、aimarkオリジナルせんべい

今回の配布物は、aimarkのロゴとキャラクター、QRコードをプリントしたオリジナルせんべいです。三軒茶屋でおかき屋さんを営むaimark参加者のあさちゃんさんのご好意で、この日のために作っていただきました。
凹凸のあるせんべいにQRコードを載せて、本当に読み取れるのか。運営側も現物を見るまでは少し不安でしたが、スマートフォンを向けると無事に読み取り成功。おいしく食べられて、写真にも残り、aimarkにもアクセスできる配布物になりました。
会場入り後は、まずaimarkメンバーと運営メンバーで、せんべいを手に事前準備の記念撮影。イベント終了後には、参加者・登壇者・運営メンバーの皆さんとも集合写真を撮りました。

LTの後は、交流会へ
発表後は、軽食とドリンクを囲んで交流会を行いました。マーケティングと一口に言っても、SEO、広告、動画、CRM、ウェビナー、アフィリエイト、AI開発など、参加者の専門領域はさまざまです。
だからこそ、自分の業務では当たり前だった工夫が、別領域の人には新しいヒントになります。発表内容を起点に、実装方法や仕事への応用について会話が広がり、新しい参加者がその場でDiscordへ入ってくださる場面もありました。
イベント後のアンケートから
イベント後には、39名から回答をいただきました。
- 12名が「具体的に試したいことが見つかった」
- 11名が「AI活用の選択肢が広がった」
回答者の多くは、すでに複数の業務でAIを使ったり、ワークフローに組み込んだりしていました。それでも、実務ではまだ止まる場面があります。
特に多かったのは、「事実確認や品質担保に時間がかかる」「出力が浅く、そのまま使えない」といった声でした。ほかにも、社内展開や承認、ツール連携、相談相手の不足など、AIの性能だけでは解決できない課題が挙がっています。
次に試したいことも、かなり具体的でした
記事やLP、提案資料の改善、動画やポッドキャスト編集、SNS分析、リード獲得、ソフト開発、日常業務の自動化など、取り組みたいテーマはさまざまでした。
「AIを勉強したい」というより、「この仕事をAIでもっと良くしたい」という段階に進んでいる人が多かった印象です。
一人で試すだけでは、進みにくい
今後ほしい機会としては、実際の事例やプロンプトを見ること、同じお題に対する他の人のやり方と比べること、アウトプットへのフィードバック、一緒に手を動かす会、気軽に相談できる相手などが挙がりました。
参加を考えるうえでは、実際のお題や投稿例、メンバーの雰囲気やレベル感、活動の頻度や必要な時間を知りたいという声もありました。このあたりは、今後もっと分かりやすく紹介していきたいと思います。
「楽しい学びの時間でした。ありがとうございました!」
まとめ:AI活用の差は「最後の詰め方」に出る
今回のイベントを通して見えたのは、AI活用の成熟度は、どのモデルを使っているかだけでは決まらないということです。
- 最初に何を渡すか
- 仕事をどの粒度に分けるか
- どこまで自動化し、どこを人が判断するか
- 出力をどう相手へ返し、次の行動につなげるか
この設計の積み重ねが、60点と90点の差になります。そして、その差を埋める方法は業務によって違います。だからこそ、成功例だけでなく、失敗や試行錯誤も持ち寄って比較する場に価値があります。
ご参加いただいた皆さん、LT登壇者の皆さん、会場をご提供いただいたYOUTRUSTの皆さん、本当にありがとうございました。
aimarkでは、AI×マーケティングの実務者が同じお題に取り組み、アプローチや成果物を比較しながら学ぶ活動を続けています。次回のイベントやコミュニティで、またお会いしましょう。
